2015年1月 「世界は固く据えられ」

「国々にふれて言え、主こそ王と。世界は固く据えられ、 決して揺らぐことがない。主は諸国の民を公平に裁かれる。」   (詩 編96:1‐13)

 

詩編96篇は「新しい神への讃美の歌」と言われています。この歌の中心は10節の「国々にふれて言え、主こそ王と。世界は固く据えられ、決して揺らぐことがない。主は諸国の民を公平に裁かれる。」にあります。「主こそ王と」とは、主が王となられたと言うことで、主なる神が支配し統治し給うという意味です。 この詩篇の著作年代は捕囚後です。イスラエル最大の苦難はバビロン捕囚で、その苦役は50年続きます。その苦難の中から、あのイスラエルの純粋な信仰が生まれたのです。それは、今や神は世界諸国民の神であり、神の支配と統治は全世界に及ぶという信仰です。

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 この詩篇は三つのグループから成っています。第一は、1‐6節「新しい歌をもって主を讃美せよ」。第二は、7‐9節「全地は神にその栄光と力とを帰せよ」。第三は、10‐13節で「主の王的支配と、それへの信頼」です。 「新しい」とは、新鮮な心で歌おうという意味で、神の支配と統治がいま詩人の新しい歌となっています。つまり、全地が声を挙げて共に神を讃美すべきであるというのです。また11、12節では、天と地の創造者・万国民としての唯一神観がはっきりと歌われています。 更に、神の支配が決して揺らぐことがない」という、その統治の確かさを歌っています。これは実に素晴らしい信仰の表白です。 この世界は常に変動し、人間の運命も定めなく不安に思われます。しかし、それは部分的であって、根本において神の支配は微動だにしないと言うのです。

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 イスラエル人が、その誇りとする王国や神殿礼拝などその一切を失ってバビロンに連行されたバビロン捕囚は、事実上、イスラエル王国とイスラエル宗教共同体の壊滅です。ところがこの苦難の中から、彼らはこれまでになかったような最高の宗教思想を生み出し、却って全地の主、万国民の神としての神信仰を確立したのです。このような神の現実的支配とその救いを信じたということは、全く驚くべきことであります。苦難の中で鉄が鍛えられるように、訓練されて人間は初めて真価を表すに至るのです。 バビロンがペルシャ王キュロスによって滅ぼされたのはB.C.539年です。ここに世界の審判者、主なる神の支配を確信していた彼らの信仰が表われています。創造者にして世界の主、生ける神は、万物、万国民はもとより、個人の運命をも支配している王の王です。これが、この詩篇に貫かれている信仰です。私たちも詩人と共に、新しい歌を主に向かって歌いましょう。