3月 「呪 い と 祝 福 」

「あなたを…わたしは祝福し あなたを呪う者をわたしは呪う。

        地上の氏族はすべて あなたによって祝福に入る。」

(創世記12:1‐3)

 

旧約聖書には、アブラハムに始まる歴史の前に、歴史の年表には出てこない五つの物語が記されています。それは人間の創造物語と楽園の追放、兄弟殺しカインとアベル、ノアの洪水、バベルの塔の各物語です。これはドイツ語でUrgeschichite 「原歴史」と言われ、この歴史の根底にあるものを示しています。

当時の世界観によりますと、上下と言えば、一番上から一番下までの全領域を意味し、「善悪」と言えば、最善から最悪の間の全領域、即ち、全知全能を意味しました。全知全能とは神です。ですから、人間が「善悪を知る」禁断の実を取って食べたということは、神でない人間が神のようになり、人間は自分が神のように一番偉くなろうとしたということです。これが聖書の言う罪です。

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 この罪の結果、人間は呪われた者となりました。呪いとは、神から罪を犯した者に不幸と死がもたらされることです。

原歴史の示すもの、この世界と歴史の根底にあるものは、呪いであり、空しい労働と実りのない、当てのない放浪の旅、死の恐怖に悩まされる自由も生甲斐もない隷属的な生活のことです。

以上の原歴史に続いて、聖書は呪いとは全く反対の祝福を語ります。祝福とは、万物の創造者である神の、私たちに対する愛の現れです。この私の存在が、揺るぎなき神の愛に支えられ、愛され、包まれて、限りない喜びに満たされていることです。

神は、アブラハムが祝福を受けて大いなる国民となることを約束し、更に、祝福を受けた者が祝福を生み出し、与えるものとなり、そして全世界の全ての民が、アブラハムによって祝福に入ると言われました。

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 そして新約聖書には、「すべての国民はアブラハムの子孫によって祝福を受ける」(ガラテヤ3:16)と記されています。

では、アブラハムの子孫とは誰でしょうか。さらに続けて聖書は「約束は、アブラハムと彼の子孫とになされ……『子孫たちとは言わずに、ひとりをさして『あなたの子孫とに』と言っている。これはキリストのことである。」(ガラテヤ3:16)と、アブラハムの子孫がキリストであることを明らかにしています。そして「キリストは、わたしたちの呪いとなって、わたしたちを……呪いから贖い出して下さった」(ガラテヤ3:13)と記しています。

この呪われた世界と歴史の全てを、キリストが十字架上に負って処置してくださいました。このキリストの救いを信じる信仰によって、神の祝福は私たちの現実となります。